わたしの宝物 その3

040316zakka.jpgさて、最後の宝物です。我が家に咲いた「アイスキング」と言う名のスイセンを教室に持って行ったところ、その絵を描いた植物画を下さったのです。もう、二年前になるかな?わたしの○○回目(笑)の誕生日プレゼントでした。これを下さった方は、先生ではありません。でも、別の意味で、本当にいろんなことをわたしに教えてくださっている方です。りんと伸ばした背筋のすがすがしい、憧れの人です。


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前のふたつの宝物は、それぞれ、関西での先生たちから、餞別で頂いたものなのですが、これだけは、ちょっと違うのです。関東に引っ越してきて、わたしはある意味カルチャーショックを受けました。わたしは、中部地方の人間ですので、多分関西とも関東とも違う気質・文化に慣れ親しんでいるのでしょう。引っ越してすぐには、どちらでも、慣れるのに多少の時間がかかりました。

関東に越して来て、わたしが入った頃、植物画の教室は、ものすごーく入り込みにくい雰囲気でした。多分、若かったせいもあったのでしょう。見た目も童顔なために「学生さん?」などと言われたりもしました。なかなか馴染めなくて、いつもぽつーんとしていたような気がします。でも、少しずつ教室に溶け込むことができました。そのときに、いつの間にかそっとそばにいてくれたのが、この絵を下さった、Hさんでした。

Hさんは、もう70を超えてらっしゃるのだと思いますが、とってもおしゃれで、粋な方。とっても博識でありながら、それをひけらかすことなく、人に尋ねられれば、そっと答えてくれる。こんな風に、年を取っていけたら、というまさにわたしにとっての理想なのです。植物画を始めるまでのわたしは、花のことなんて、本当に何も知りませんでした。でも、このお教室で、他の方が描いてる花を見て、名前やいわれを聞いて、いつのまにか、覚えていきました。

花だけでなく、いろんなことを教わりました。若いわたしの世界だけでは、決して知りえない、様々なことを。このお教室には、本当に素敵な方が多かったのです。その中でも、特に素敵なのが、このHさん。Hさんの素晴らしいところは、たとえばわたしの話の中に、若者にしか通じないような話があったとしても「そんなの知らないわよ」などとは、決しておっしゃらないこと。「それおもしろいわねぇ」
と、興味を持って、聞いてくれるのです。好奇心の強い方というのは、いつまでもお若いものだなぁ、とHさんを見るにつけ思うのです。

でも、そんなHさんも、数年前までは年に数回行っていた海外旅行も、体力的に苦しくなり、夏場は、駅からの坂道を、一気には上れなくなったとおっしゃいます。いつまでも、お元気でいていただきたい・・・わたしでできることなら、何か力になりたい。そんな風に思ったりします。一緒に机を並べて描いていた頃には、わからなかったけれど、離れてみると、月に二度、Hさんに会って、話すだけで、どれだけ自分の心が癒されていたのかがわかります。

また、Hさんも、わたしが教室を去ったことを、ことのほか悲しんでくださってるようで・・・ありがたいような、申し訳ないような気持ちでいっぱいなのです。春になったら、わたしの庭を見に、Hさんを車に乗せて見に行くね、と他の方と約束しています。それが今は、何よりの楽しみなのです。 


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