アートがあれば 〜WHY NOT LIVE FOR ART?

040618opera_city1.jpg東京オペラシティで開催中の『アートがあれば 〜WHY NOT LIVE FOR ART?』を見て来ました。最近、ユニークな展覧会を見る機会が増えていますが、この展覧会もとても面白いものでした。というのも、この展覧会は、アートのコレクターたちの収集した作品を、コレクターごとに、そのコメントも交えて展示するという趣旨なのです。

アートをコレクションする、というのは、ものすごく特別なことだと思いがちですが、好きな服やアクセサリーを買う感覚で、好きなアートを身近に置く。そんな楽しみがあってもいいのかもしれない、と思います。

この展示会を薦めて下さったichigo_ichieさんいわく、「自分も少しずつ気に入ったアーティストの作品をコレクションしてみようかと思ってしまったこの作品展、お薦めです!!!」ということでしたが、わたしも何か作品を買ってみたくなってしまいました。草間彌生さんを集めてる方が、こんなに多いとは驚きました。9人のコレクターの半数が草間さんの作品をお持ちで、しかも、彼女の作品がきっかけで、コレクターになったという方もいらして、改めて彼女の持つパワーを感じました。

◆◇気になった作品◇◆
マージ・ギルリンクス・・・コンピュータ処理された写真なのですが、何ともいえない不思議な世界に誘い込まれます。
トム・フリードマン・・・写真を使ったコラージュ?すごいマメ!と思ったし、面白い作品でした。
ジュリアン・シュナーベル・・・1980年代前半のニュー・ペインティング(新表現主義)の代表画家。とにかくかっこいいです。O.S.さんのヒーローということですが、わかるなぁ。
野田幸江・・・・2002年に衝撃的なデビューを飾った、若き女性アーティスト。うごめく無数の裸体の男女、果実や花々など、細密に描かれる世界は、異次元空間。スゴイの一言。
ポール・モリソン・・・白と黒のみで描かれた樹木なんだけど、なんだか、心惹かれたました。

9人のコレクターが、それぞれ自分の言葉で、アートについて、コレクションについて、語ってくださっていますが、どの方にも共通して言えるのは、とにかく、好きなものを集めているに過ぎないということ。美術的価値を考えたり、系統的にコレクションするというのではなく、好きなもの、自分のそばに置きたいものを、ただ集めている。アートを鑑賞するって、ただそれを好きか嫌いか、まずはそれでいいんだろうなぁ、と改めて思いました。

東京オペラシティHP
「アートがあれば ─ Why not live for Art?」展Website
ichigo_ichieさんのInnocence--artscape blog--のエントリー
■展覧会・美術館情報 東京オペラシティ「アートがあれば」展


もうひとつ、ちょっとネタばれですが。
会場に入ると、ずーっと聞こえ続ける不気味な音。規則的に繰り返される低音。3階の展示を見て、階段ホールに向かう途中に、その謎が解けます。向かい合わせになった、二台のモニタの中に、ある有名な男性歌手と女性歌手が、写し出されています。しかし、それは、ずーっと一つの音を繰り返す、リピート処理を施されていて、ずっと「わわわわわわわ」という感じで、同じ音、口の動きを繰り返すのです。これが、あの不気味な音の正体でした。
受付に戻って、あれは何か聞いて見ると「うまく行かないコミュニケーション」をあらわしているのだとか。納得、です。


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