フェルメール『画家のアトリエ』〜栄光のオランダ・フランドル絵画展

040625oranda_frandle1.jpg長いタイトルですね(笑)覚え切れません・・・なんと言っても、今が旬のフェルメールです。「真珠の耳飾りの少女」の映画とタイアップして開かれているこの展覧会。しかし、勘違いしてはいけません。この展覧会に、「真珠の耳飾りの少女」は展示されていないのです。え?勘違いじゃなくて、展示されてないほうがおかしい?そう、そういうクレームが、美術館には殺到してるのだとか。そこには、フェルメールという画家の特性が、関係してきます。

画家には、すごく多作な人と、実に寡作な人がいて、たとえば、印象派の代表的な画家であるモネは、非常に多作な人で、有名な「睡蓮」だけでも、200もの作品を残しているとか。何しろ、印象派は、実際にその場で、印象のままに絵を描くわけで
一枚にそんなに時間をかけていられないのです。そんなわけで、モネは、午前中だけで、7〜8枚の絵を仕上げたと言われています。

それに比べ、このフェルメールは、現存する絵が、30枚と言う少なさ。なので、一枚の絵の価値が、非常に貴重なわけです。とりわけ、今回展示されている「画家のアトリエ」という作品は、フェルメールがことのほか愛し、死ぬまで手元に置いていた絵なのです。フェルメールは、それ以外にも、その生涯が謎に包まれていて
世界中に多くのファンを持つ画家です。たった一枚しか展示されないとわかっていても、その一枚のために、世界中の美術展を渡り歩く愛好家が、数多く存在するのだそうです。

そんな風に、人を惹きつけてやまない、フェルメールの魅力とは、どこにあるのでしょう。フェルメールは、その時代としては、少し先駆的な絵を描く人だったようです。もちろん、17世紀当時の古典的な画法はきちんと踏まえつつ、光を取り入れた構成にその特徴があります。彼の絵は、18世紀には、評価が下がり、忘れ去られようとしていたのですが、19世紀になって、再評価が進みます。彼の絵を評価したのは、同じく「光」を重要視する印象派の画家たちでした。そういった意味で、印象派と彼との間には、重要な関係があるのです。

この展覧会には、そのほかに、レンブラント、ルーベンスといった大画家の日本では初公開の作品も多く見られます。油彩でありながら、透明感のある、どこまでも繊細な表現に、ただただ陶酔できる展覧会らしい展覧会だといえると思います。
(その前に、『オノ・ヨーコ展』を見たので、よけいにそう感じたのかも)


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