海をわたった華花 -ヒョウタンからアサガオまで- -縄文から現代-

040827rekihaku.jpg佐倉の国立歴史民俗博物館で、9/12(日)まで行われている展覧会です。今、日本でわたしたちが食べたり、花を楽しんでいる植物は、そのほとんどが、大陸より海を渡ってもたらされたものです。

氷河期までは、日本列島は大陸に陸続きで繋がっていたのが、氷河期が終わると、氷が溶け、水位が上がって、島国になった事は知られています。では、日本列島が、島国になってから、大陸から穀類などがもたらされるまで、当時の日本人は、何を食べて暮らしていたのでしょう?と、館内のガイドさんと話が弾みました。

解説より
この企画展示は、これまで個々に解明が進められてきた植物たちの歴史を、日本の生活文化の枠組みの中で総合し、遺物・文献や、種子、栽培資料をとおして、海をわたった植物たちと人とのかかわり史の理解を深め、日本歴史の新しい視点を見出そうとするものです。

とまぁ、難しい事が書かれていますが、実際に展示を見ていると、そんな堅苦しい事は抜きに、古代の人々や中世の人々が、植物とどんな関わりをしてきたかが、単純に楽しめます。おもしろいなぁ、と思ったのが、現代の人間は、木材や石油などの資源を乱伐した結果、地球環境がめちゃめちゃになってしまってから、何とか、後戻りしようと、努力しています。でも、古代の日本人も、石器などを作るために、森林を乱伐して、その結果、森が急激になくなった、と書いてあるのを見て「昔も今も、人間は変わらないものだなぁ」と思ったのでした。

また、伊藤若冲の「野菜涅槃図」を復元しようという試みもおもしろかったです。(一番上の画像の上部の野菜です)伊藤若冲は、京都の大きな八百屋さんの後継ぎとして生まれたのですが、どうしても画家になりたくて、もう中年になってから、家督を弟に譲って、画家になった人なのですが、それだけに、野菜に対する観察力は鋭く、この絵は、とても生き生きとした素晴らしい絵なのですが、資料としても
十分価値があり、江戸時代の上方で、どのような野菜が食べられていたかを、窺い知る事ができます。なんと、ランブータンなどもあったんですねぇ。

それに、昔の人の間では、ウリ(メロン)は、糞から芽を出すと信じられていて、かわいそうな名前の雑種のウリも多かったようです。で、実際に検証したら、ウシの糞からの発芽率はきわめて高く、糞から発芽した苗から育ったという立派なウリが、展示されていました。もちろん、人が食べて、そのまま出したものからも、発芽します。

そんなこんなで、なかなか興味深い展覧会です。江戸時代の園芸についても述べられています。先日こちらにも載せた江戸時代のアサガオも、『くらしの植物苑』で見る事ができます。


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