古伊万里に見る江戸のくらし -装飾と実用の姿-

040917toguri_museum.jpg9/17(金)、渋谷区松涛にある『戸栗美術館』に行って来ました。松涛の閑静な邸宅に、ちょっとどきどきしつつ(田舎もん&庶民なわたし)bunkamuraの横の坂を登って、左に折れると、戸栗美術館は現れます。こちらもやはり、実業家の戸栗亨氏の私的コレクションを収めた美術館で、日本・中国の陶磁器が充実しているのが特徴です。収蔵品はなんと7000点あまりもあるそうで、これはぜひ、何度と無く足を運んで、見に来たいと思いました。

この春に、わたしは、唐津・有田・伊万里を旅したのですが、そこで疑問に思ったのが、「柿右衛門様式などの古伊万里は、有田で見たけど、有田焼と伊万里焼とあるのね?それはどう違うの?」有田焼の絵付けをしているクプカさんにお尋ねすると「古伊万里は、有田焼なんだけど、有田には海が無いので、伊万里港から出荷したの。それで、海外では『伊万里港から来る磁器=伊万里』と呼ぶようになったんだよ」ということだそうで、目からうろこでした。伊万里焼は、とても素敵な焼き物ですが、古伊万里から繋がる有田焼とは、少し趣を別にしています。古伊万里とは、江戸初期から1830年頃まで、有田で作られたものを指すそうです。

ひとくちに、古伊万里といっても、さまざまなものがあります。初期の、染付けで描かれた、中国風の山水画を描いたものから、だんだんと日本独自の絵柄になっていき、やがて色絵の技術が発展していきます。

使う、という点で見れば、わたしは染め付け(下絵付・藍一色のもの)が好きなのですが、絵付けされたものを見るときに、わたしの目は、絵付けをする者のの視点になってしまいます。豪華な「献上伊万里」(実際に献上された『鍋島』とは違い、献上されてもおかしくないほどの豪華さと品格を兼ね備えたもの)に心引かれました。古伊万里と鍋島の区別がつくようになったのも、何だかうれしいです。鍋島は、すっきりとしたデザイン的な美しさが特徴だな、と思います。

また、蛸唐草が、時代と共に変化していく様子もおもしろかったですし、「江戸のくらし」ということで、今は何に使われていたかよくわからないようなお道具類も見られて、興味深かったです。

戸栗美術館、ちょっと入館料が高目かな?という感じはしますが、(あと¥200ほど安くして欲しい)焼き物がお好きな方でしたら、きっと楽しめると思います。これを機に、わたしの絵付けは、一気に和へを傾倒しそうな予感・・・(ああでも、展示会用のはヨーロピアンで作ると決めてしまっているのよね(^^ゞポリポリ)


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