9/17(金)大倉集古館に行きました。ここ大倉集古館は、大倉グループの創始者・大倉喜八郎氏が作ったものですが、今回の展覧会は、喜八郎氏の長男で、ホテルオークラを作った大倉グループ2代目・喜七郎氏のコレクションを展示しています。
まぁなんというか、こうした財閥などは、創始者はよくても、2代目というのは、イマイチな人が多い事もあるようですが、この喜七郎氏は、優れた人だったようです。事業面でも才覚があり、芸術にも深い理解と関心を示し、イタリアでの日本万博の開催には、横山大観らとともに尽力し、大成功へと導きました。
また、今回展示されている香道具は、喜七郎氏の夫人である久美子夫人のものです。大倉に輿入れしてきてから始めた香道を、久美子夫人は極め、明治時代に衰退しかかっていた、香道を復興させるのに、尽力されました。嫁入り道具として持ってきた松竹梅蒔絵十種香箱は、18世紀のものとは思えぬほど、また、日常的に使われていたとは思えぬほど、美しく保存されています。
香道というのは、非常に雅やかな世界のもの。源氏物語などにも登場しますが、さまざまな遊びや趣向があります。香木を組み合わせて、さまざまな香りを作るのですが、名前をつけ、組み合わせた香木を包んだものには、その名前にちなんだ美しい絵が描かれていたり・・・お道具類の美しさにもうっとりです。
また、「組香」といって、3種類の香りを3包ずつ用意して、混ぜてから3種選び、その香りを聞いて(じっくりかぐ事を、聞く、と言います)その香りの順番を当てるという遊びは、その順番にも名前があって、3種ならば、名前を覚えるのも容易ではないですが、それが「源氏香」といって、5種類5包になると、順番の組み合わせは、52通りとなります。源氏物語は54帖なので、最初と最後の帖を抜いた52帖の名前を組み合わせにつけているのですが、52種の名前を覚えるのはいかにも大変なので、組み合わせ図を用意して、見ながら書いてもいいのだそうですが、これがまた、美しい絵柄が入っていて、またうっとり・・・もうなんとも、美しく雅やかな世界なのです・・・・
香りに聞くは、源氏物語
まったくこんな世界に縁はなさそうですが、もしも仮に間違って、香道の席に呼ばれてしまった場合、アクセサリーをつけない、素足やストッキングはダメで、白い靴下を用意、当然香水や匂いのきつい食べ物を食べてはいけない、など、いろいろ気をつけることが書かれていました。一応めもめも(笑)
2階は、日本画が展示されていました。どれも素晴らしい作品でした。やはり玉堂がいいなぁ。いつ見ても、心をほんのり、やさしく柔らかくしてくれるような気がします。