2004年・わたしの選ぶ展覧会ベスト5

041009important_painting.jpg本当は年内に載せたかったのですが、すっかり遅くなってしまいました。このサイト、メインは、わたしの描いた絵(植物・磁器絵付け・ひよこ)と庭の写真となっているのですが、ふと気づくと、エントリー数は、展覧会関係がすごいことになっています。特に昨年は、80を越える展覧会を見たので、このままにしておくと、何がよかったのか、月日の流れるうちに、埋没してしまいそうです。というわけで、順不同で、昨年一年で、心に残った展覧会について、書いてみようと思います。

まずは、昨年、すごくよかった展覧会を、見に行った順に挙げます。

『若冲と琳派 〜きらめく日本の美〜(2004.2.6)』
昨年は、琳派ブームだったと言えると思うのですが、その先駆けとなった日本橋高島屋での展覧会です。が、しかし、わたしは琳派ではなく、伊藤若冲の描く鶏の絵に、とにかく感動。

図譜原画巡回展「日本の絶滅危惧植物」(2004.4.24)
自分が主として描いてるものなので、植物画展には、なるべく行くようにしているのですが、これはその中でも、レベル的にも、描かれている植物の希少性としても、本当に素晴らしかった展覧会でした。

『MoMA・ニューヨーク近代美術館展「モダンってなに?」(2004.5.28)』
それまでどちらかというと苦手意識のあったモダンアートの面白さを開眼させてくれた記念すべき展覧会。何かと話題の多かった森美術館ですが、常に話題性と質の高さを両立させた展覧会を提供しつづけてくれるのは、さすがだと感じます。

『世紀の祭典・万国博覧会の美術(2004.7.30)』
見たものは西洋美術系のほうが圧倒的に多かった筈なのですが、印象が強かったのは、日本的なものだった一年だったような気がします。この秋に本館がリニューアルされた国立博物館ですが、この展覧会は「これでもか!」という迫力の展覧会でした。最後のほうは、もういいよ、と言いたくなるほどで、さすがにヘロヘロになってしまいました。でも、大興奮しちゃったな(*^^*)

『幻のロシア絵本 1920-30年代(2004.8.20)』
展覧会は、展示されている作品そのものだけでなく、展示の仕方や展示されている箱も、とても重要である事を、とても実感した展覧会。小粋なイラストの描かれたたくさんの絵本が、アールデコの朝香宮邸に不思議にマッチングしていました。

次に、昨年見て、知って、多くの感銘を受けたアーティストを挙げます。

伊藤若冲
とにかく、言葉にはできないような、脳天を殴られるような感銘を受けました。彼が好きなのは、彼の絵の多くが、鶏の絵だから、というのもあるのかもしれませんが、それにしても、あの躍動感は素晴らしい。

草間彌生
好き嫌いの分かれるアーティストでしょう。実はクサマトリックスのときには、食わず嫌いをして、行かなかったのですが、最後の最後に、彼女の個展を見て、一気に彼女をみる目が変わりました。多くのコレクターが、彼女の作品を集めている事実からも、彼女の影響力のすごさを感じるに十分でした。

熊田千佳慕
この方に関しては、子供の頃に絵本などで目にされた方もいらっしゃるでしょう。わたしは残念ながら、数年前までこの方の事をまるで知らなかったのですが、自分のしている細密画の世界の第一人者として、一度は原画を見たかったのですが、その念願がようやく叶いました。本当に素晴らしくて、いつまでも眺めていたかったです。

藤本能道
磁器絵付けの参考に、和洋問わず絵付けの展覧会には脚を運んでいますが、とにかく感動しました。陶芸家として、絵付師としても超一流の人間国宝が、天皇陛下をお招きする、たった一度の晩餐のために、約一年かけて作り上げたディナーセットは、もう本当に圧巻です。彼の、同じ作品を飽くことなく作り上げるのは、苦行であるというのに、非常に共感しました。それでいて、セット全て同じレベルで仕上げる力量はさすがで、人間国宝の名に恥じないです。

ザオ・ウーキー
絵を描く事も、見る事もとても好きで、たいていの絵は好きなのですが、唯一理解できなかったのが、抽象絵画の世界でした。いいとも悪いとも思わない、何が言いたいのかわからない、そう感じる事が多かった抽象絵画の世界。でも、ザオの絵と出会い、その考えは一掃されました。何が言いたいのか、わからなくてもいい。ただこの絵が好きなんだから。彼の描く色、輪郭、ぼかし・・・そのすべてにどうしてこんなに惹かれるのか。わからなくていい。ただ好きなんだから。そんな風に思わせてくれたザオは、本当に偉大だと思うのです。


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