幻のロシア絵本 1920-30年代

040820russia1920-30.jpg庭園美術館で8/20(金)に開かれていた展覧会です。1920年代、ロシア革命後の希望に満ちたロシア(当時はソヴィエト)の子供たちのために描かれた、素敵な絵本展でした。実は、それほど期待していなかったのですが、行って見て、本当に感動しました。子供向けの絵本とは言え、どれもみな、素晴らしいアート作品です。革命後の理想に燃えた画家や文学者が、未来への希望を託す子供たちのために、力を注いで、この絵本たちを作り上げたというのも、納得です。

本展覧会では、同じウラジーミルという名を持つ二人の画家、レーベジェフと、コナシェーヴィチを中心に、大きくスポットを当てて紹介しています。もうこの二人の作品は本当に素晴らしいです。同じ物語を絵本にしたものが並べられていましたが、個性は違えども、甲乙つけがたい、それぞれのよさがあるのです。また、それ以前のビリービンの絵本も素敵ですし、ほかの画家の作品も、詩人のチェコフスキーやマルシャークの言葉もよくて、うっとりと時間を忘れて見入っていました。

残念なのは、最初の革命の理想とは離れた方向にソヴィエトが進んで行くに従って、絵本の内容も、かつての伸びやかなモノではなく、軍国主義的なモノへと変わっていき、画家たちの絵も、かつての生き生きとした個性を失ってしまった事です。ソヴィエトの未来に悲観した、もうひとりのウラジーミル、詩人のマヤコフスキーは、『海と灯台についてのわたしの本』を出した後、1930年、ピストル自殺を遂げます。

最後に、「エピローグ・そして誰もいなくなった」を添える事で、わたしたちにも、かつて日本にもそうした、表現への規制や弾圧の時代があったことを思い出させてくれます。

ところで、子供向けの絵本というのは、その使用目的からボロボロになって、使い捨てられる事が多いのですが、今回これほど多くの絵本を、一度に見る事ができたのは、ロシア絵本に魅せられた日本人画家・吉原治良の蔵書の中にあったからなのです。『スイゾクカン』という絵本を出すために、ロシアの絵本を参考にしたということですが、この膨大(87冊)な絵本を、彼がどのような意図で手元においていたのかは、不明瞭な点が多いそうですが、同時代のほかの画家も、ロシア絵本を集めていたことから、当時の海外の動向に敏感なアーティストたちの中で、ロシア絵本に対する関心が高かった事をうかがわせます。

庭園美術館のバラ。美術館へのアプローチに現れる不思議なオブジェ。限られた空間が、その奥へと心をいざなう。
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ひさしぶりに、FINDING NECOに参加。最近、暑さと重さで、あまりカメラを持ち歩かなくなっちゃったので、この日に撮った写真は、ひさびさでした。このにゃんこは、庭園美術館のカフェの前にいました。ここはアタシの場所よ?という感じの堂々とした雰囲気を漂わせていました。どうも、わたしが見かけるネコは、どの子もしあわせそうで・・・どのネコも、のんびりのほほん、と緑の中で暮らしているように見えました。(餌もええもんもらえるんかな?)(Panasonic LUMIX FZ10)
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