たまたま美術館案内を見ていて、見つけたこの展覧会。宮内庁なんて、ものすごく敷居が高いと思っていたのですが、行って見ると、随分多くの人たちが訪れて、賑わっていました。
また、場所と休館日、拝観時間の確認のために、宮内庁に電話したのですが、担当の方は、とても感じのいい男性で、なんだか、皇室がグッと身近に感じた瞬間でした(←単純)。
三の丸尚蔵館は、地下鉄大手町駅13b出口を上がったところのパレスホテルの前の大手門から入って、すぐに現れる建物です。
電話の男性が監修されているというHP 宮内庁HP
三の丸尚蔵館特別展「北欧からの美の花束・デンマーク王室の陶磁コレクション ロイヤル・コペンハーゲン」
デンマーク王室の王立磁器メーカーとして、長い歴史を持つロイヤルコペンハーゲンですが、この図録の表紙(チラシがなかったので、表紙なのです)にも何点か乗っているようなブルーと白の「ブルーフルテッド」のシリーズが世界的に有名ですが、この会社を代表するもうひとつのシリーズが、「世界で一番豪華なディナーセット」と呼ばれる「フローラダニカ」なのです。
「フローラダニカ」とは、「デンマークの植物」と言う意味で、デンマークに自生する植物を描き留めたボタニカルアートを元に作られています。元々は、ロシアのエカテリーナ二世に贈る為に作られたものですが、完成までにあまりに長い年月を要したために、このディナーセットが完成する前に、女帝は亡くなってしまったのでした。また、この絵付けに携わった絵師・ヨハン・クリストフ・バイアーは、最後にはほとんど目が見えなくなってしまったとか。この「フローラダニカ」という豪華なディナーセットがいかに素晴らしいものかが、これだけの逸話でもうかがい知ることができます。
展示内容は、なかなか興味深いものがありました。「フローラダニカ」は現在もロイヤルコペンハーゲン社で制作されており、大変高価な食器なのですが、日本人向けなのか、最近の傾向なのか、美しい花の咲く植物が中心で、色彩も全体的に明るく軽い感じに仕上がっています。でも、この展覧会に出品されていたのは、ほとんどキノコ類やコケ類など、美しいと言えるものではないものが中心で、「デンマークにもこんなのが生えてるんだぁ」などと感心したりして、本当に楽しく拝見しました。ただ、日本人の感性では、コケ類の描かれた食器の上で食事をする気には、なかなかなれないような気もしますが、これは飾り皿なので、いいのかも?
また、そのほかにも、ロココスタイルの美しい色絵付けや、ブルーフルテッドのルーツとも言える中国の花鳥画の作品、ジャポニズムの影響を強く受けた作品など、Rコペンハーゲンの様々な側面を知ることのできる展示内容となっていたと思います。図録がちょうど切れていたので、注文して、後日取りに行きました。そのついでに、のんびりお散歩も楽しんで、すっかり皇居を堪能しました。
大手門です。かなり多くの人が訪れています。外人さんの姿も目立ちました。
しゃちほこです。名古屋出身のわたしは、金色のイメージが抜けません。
入り口でこれを受け取って、帰りに返して出ることになっています。
これが、会場の三の丸尚蔵館です。