はずれ姫/長谷川純子


貧乏なワタクシは、出版業界にいながら、なかなか単行本を定価で買うことがありません。大抵は文庫で買うか、古書か図書館のお世話になります。

でもこの本は、どうしても読みたくて、帰ってからもう一度本屋さんに買いに行ってしまったと言う本なのでした。
万人受けするという本じゃないかもしれないけど、私は面白いと思ったし、ある意味痛快でした。
    
なんというか、ミもフタもなく、救いもない話ばかりがつまっている。文章表現も、女流作家がよくぞここまで書いたか、と思う。でもね、ただのきれいな恋愛物語に、なぜ私が心打たれないかわかった。
綺麗な男と女が出会って恋をしてって話にはもう辟易している。

だから何?って思うのは同じかもしれないけど、綺麗な言葉だけを並べただけじゃ絶対に伝わらない真実ってあると思う。それをこの本は描いてると思う。

美しくなくても大事にされる女もいるし、美しくても大事にされない女もいる。そのわけはなんだろう?どこにボーダーラインがあるんだろう。
この小説の残念なところは、そこに少しも答えを見出してはいない事。そこが救われないと感じられる一因か。 そんな必要性も感じていないのかもしれないが。

とりあえず私は美しくないけど「はずれ姫」じゃなさそうだ。「あたり姫」かどうかはわからないけど(笑)でも今も結構幸せだな、と思うからいいのだ☆
   


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生協の白石さん/東京農工大学の学生の皆さん

070128seikyou.jpg今さら読みましたシリーズ(?)第二弾。
売れましたね〜〜〜

なんか正直、スカッと肩すかしを食らったような気持。
もっとホロッとさせられるようなものを期待していた私が悪いんだろうな。

まぁ、大げさすぎず、それでいながらうまい切り返しになるほど、と思ったけれど。
私としては、お答えよりも、間に挟まれているエッセイのようなものの方が面白かったな。白石さんやっぱり賢い方なのですよね☆

第二弾も出たそうです☆
 


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東京タワー/江國香織

070127tokyo_tower.jpg今さらながら「こっち」の東京タワーを読んでみる(笑)
(リリー・フランキーのじゃありません)


     


正直、主人公の二人は、勝手にやってなさい、と言う感じで、 どうでもよかった。
作者が結局、この二人の関係を通じて、何を訴えたかったのか、よくわからなかった。ちょうど魅力的な年頃の、年上の女に恋した年下の男が、切ながってるだけ、に思える。

未来のない恋は、確かに切なく苦しいけど、切なさや苦しさで言えば、この二人より、詩史の夫の方だろうと思う。つき合うなら、せめてこの人にバレないようにしてあげて欲しかった。
それとも、取り繕うこともできないほど、無防備に恋してしまったのだと言うのだろうか。

それならば、どうして責任を取れないのだろう。
自分が1人にならないために、夫という保険を持ち、その夫の目の前で、愛人と一緒に仕事する。愛が冷めたわけでもない夫に、そんな残酷な仕打ちができるものだろうか。

いつか、女が年取って、男が去ってしまうから?
確か映画にはそんな台詞があったけれど、原作には出て来なかった。
これを読んだ人は、この二人のような恋がしたいと思うのかな。

ただ詩史と言う女性はとても魅力的に描かれていて、透が恋をしてしまう気持は、とてもよくわかる。でも、この物語は、ココから始まるのじゃないのか?と言う終わり方。
むしろこの続きが読みたい。きれいでもおしゃれでもない、もっとどろどろとした関係。

私は透の友達の耕二の方がおもしろかった。
年上の人妻と学生の彼女と、うまくやってるつもりが、過去に犯した過ちから、歯車が狂い始める。そして本命のはずだった彼女に振られたことより、遊びのはずだった人妻のことが後を引くあたり、体の相性とは侮れないものだなぁ、と思ったりする。

おもしろかったけど、ちょっと物足りない感じもした。多分私の好みはもっと、濃い物語なのだろう。どろりと余韻を引くような重さのあるもの。さらっと都会的な小説がとても人気があるのはわかるのだけど。




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ファースト・プライオリティー/山本文緒

070121engel2.jpgちょうど一年前、今の家に住みはじめた頃に、山本文緒の本を読みあさった。
もともと好きで、かなりの作品を読破していたが、この時一気に読んで、多分ジュニア小説時代のものを除いて、全制覇したのではないかと思う。

この頃読んだこの本とエッセイ『そしてわたしはひとりになった』は、なんともココロにすとーんと入り込んできた大切な二冊となった。よい小説の条件とは「身につまされる」ということだと聞いた事があるが、まさにこの人の小説には、微妙な立場や感覚の違いを超えて、身につまされて、ギュッと胸が締め付けられるような気がする。


            


山本文緒の小説は大抵面白いが、特にこの人は本当に短編の名手だと思う。
この短編集は、様々な職業や立場の31歳の主人公の様々な「一番大切なもの」をテーマにした31編の短編が収められている。




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『悦びの流刑地』と『しびれフグ日記』/岩井志麻子

070116flower_girl.jpg秋頃、岩井志麻子が気になって気になって仕方なくて、『しびれフグ日記』と『悦びの流刑地』を読んでみた。(流刑地は流刑地でも、昨年ブレイクした『愛ルケ』とはちゃうのだが)おそれいった、と言う感じだった。

『しびれフグ日記』

おもしろかった。期待を裏切らないおかしさ。ホント、ココまで自分の恥部をさらけ出して、それでなおかつ、最後のオチ!!岩井志麻子ってただもんじゃねーな、と思う。
本人もさることながら、脇を固める登場人物たちの濃さも相当だと思う。今度はちゃんと小説を読みたいと思った。


そんなわけで、このあといよいよ小説を見つけて購入。


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スヌーピーと仲間たちの心と時代〜だれもが自分の星をもっている/広淵 升彦


もっと堅い本なのかと思ったが、全く違って、するすると読めてしまった。
スヌーピーのマンガは何冊か過去に読んだ事があるのだが、おもしろいものと、よくわかないものが、正直なところあったのだった。
きっとこれは、アメリカンジョークだから、翻訳されてわかりにくくなっているのだと、都合良く解釈していたが、ただそれだけのせいではなかったようだ。
    

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So YOUNG 吉井和哉詩集 & 吉井和哉のマル秘おセンチ日記


1999
ロッキングオン
吉井 和哉

イエローモンキーの絶頂期に出された吉井さんの詩集。未発表の詩や手描き文字などが見られるのも貴重。

タイトルにもなってる『SO YOUNG』は、イエローモンキーの曲の中でもベストスリーに入る名曲だと思っていますが、とにかく詩が美しい。

派手でエロスな面ばかりが強調される彼ですし、それもファンとしては大好きだけど、人が誰でも感じる普遍的な部分を言葉にして紡げる力を持った人だと思う。

そして写真がとても素敵。インタビューも素敵。ふと思い出してときどきパラパラめくりたい一冊。



1996
ロッキング・オン
吉井 和哉

6年前に友達に借りて読んだ本を自分でも購入。
当時よりずっと彼を好きな私は、読んでますますおセンチに。

帯のウラには
「今や堂々たる『死んだら新聞に載るようなロックスター』
となった吉井和哉が、
そうなる前=92年秋より、そうなってから=96年春までの
3年余にわたり綴り続けた魂の記録」
とある。(ロッキング・オンJAPAN掲載)
     
 
              


最近のインタビューでは、 「『ロックスター』と言う曲を歌ってきたけど、それはわざと嫌みで言ってたものだったけど、最近になって、やっと自分がロックスターだと言う自覚が出てきた」と答えてる彼の、悩み多き30代に突入する前の、ただ昇って行く途中を、楽しくときにほろ苦く綴った日記。

文才があるのかどうかは謎だけど(笑)、彼の「本を読まない」と言う言葉が信じられないほど、その文章には惹き付けられる。

特にその毒吐きっぷりが痛快だし、普通に怖いものや苦手なものがあること、自分の中の暗い部分に対しても、何のてらいも無く描ける吉井さんの人間味に惹かれるのかもしれないけど。

吉井さんを好きな人はますます夢中に 、好きじゃない人も、きっとちょっとだけ好きになっちゃう、そんな本だと思う。

そして今、40代になった彼の「おセンチ日記」を切望してるのは私だけではないはずだ。


              


秋晴れの気持いい連休となりましたが、みなさまはいかがお過ごしだったでしょうか?

私がこの3日間にした事
・絵を3枚描いた
・プールに行った
・美術館に行った
・深夜のファミレスで語った
・ずっと欲しかった本を手に入れた

思いつくまま書いてるので、順番はぐちゃぐちゃ。 こうやって書き出してみると、結構よい休日だったような。 遠出する休日も、もちろんとても素敵だけど、日常の延長線上に、小さな楽しみとか歓びがあるような、そんな毎日を、今は大切にしたいと思う。


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バターはどこへ溶けた/ディーン・リップルウッド


2001
道出版
ディーン・リップルウッド

「チーズ」を読んだので、こちらも読んでみたけど、わたしにはこれは、言い訳にしか感じなかった。 「足元の幸せに気づく」事も大切だけど、やっぱり、私は「探しに行きたい」と思う。 裁判で負けて絶版になっているのですね。両方読めてよかったです。

こんな本も出てるのねん。


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驚典 - 群ようこ対談集


2002
講談社
群 ようこ

群ようこと「その道の達人」の対談集。それにしても「その道」として掲げられているのが
「麻雀」安藤満(プロ雀士)
「動物」野村潤一郎(獣医)
「陶芸」島田文雄(陶芸家)
「古書」出久根達郎(古書店店主)
「編み物」広瀬光治
は、いいとして、
「ブランド」中村うさぎ(作家もしくは無駄遣い女王)
「手づくり」内田春菊(漫画家)
「同い歳」森まゆみ(作家)
は、どないなもん? とは言いつつ、やっぱおもしろい。いつものように、むふむふ言いながら読んじゃったわのさ。



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自然のレッスン/北山 耕平


2001
太田出版
北山 耕平

大切な人に薦められて読んだ本。 私にとっても、とても大切な本になった。無理に自然の中へ出かけて行かなくても、日々の生活の中で、「自然に生きる方法」を教えてくれる。

長崎訓子さんのふっと力の抜けたようなイラストにもココロが和む。


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